2/26/2020

ローカル・ミュージアム ~ 地元の博物館

先日親せきの4歳の子が遊びに来たので、我が家から簡単に行ける子供のアトラクションを探していました。丁度ハーフタームの時期でもあり(イギリスでは学期の中間に一週間のお休みがあります)、子供向けのイベントもあちこちで行われていました。

そこで見つけたのがミルトン・キーンズ博物館です。ここは民間運営のローカル・ミュージアム。ローカル・ミュージアムと言えば、交替で数人のボランテアが受付をしている小さな地元の歴史博物館を想像しますが、ミルトン・キーンズ博物館はナショナル博物館にも匹敵する規模のもので、主に1800年からの地元の歴史に関する博物館。しかも数人のスタッフを除いては全てボランティアです。そして入場料は一週間前に値上がりしたとは言え現在大人10ポンドです。しかもこの料金は1年間有効のパス!正に観光客よりはむしろ地元の人たちを対象にしていることがわかります。

そう言えば、やはり地元博物館のブレッチリー・パークも(第二次大戦中、絶対に解読不可と言われていたドイツのエニグマという機械を使って作られた暗号を解いた場所)一回分の支払いで1年有効でした。

ミルトン・キーンズ博物館




中に入ってその広さに驚きます。




昔の部屋を再現。




焼き立てのスコーンをたった今誰かが食べたようなディスプレイに、誰かのお宅にお邪魔した様な気持ちに。




昔のキッチンでは昔風にトーストが焼かれていましたが、室内の煙がひどくて途中でキャンセル。ボランティアのおじさんが申し訳なさそうに誤っていました。




昔のハイストリートを再現。タイムスリップした感じです。






新館で行われていたテキスタイルのエギゼビション。




交通の歴史館。子供たちがミニチュアのレプリカを乗り回していました。






おもちゃの歴史館。




ハーフターム期間は子供対象のレクチャー、体験レッスンも。電気がどうやって作られるかの実験です。





とってもお手頃なティールーム。




ボランティアのご婦人が焼いたケーキやスコーン。全部2ポンド以下という値段。







ロンドンから少し足を延ばして郊外のアトラクションを訪問するのもお勧めです。ホテルは安いし、隠れたイギリスを体験する良いチャンスかも。

Milton Keynes Museumへはロンドンのユーストン駅から直行で40分から1時間のWoverton駅へ。そこから徒歩(15分)かタクシーで。http://www.miltonkeynesmuseum.org.uk/

2/16/2020

デニスという名の暴風雨

今年に入ってから3回もストーム(暴風雨)が来ました。1月はストーム・ブレンダン、先週末はストーム・キアラ、そして今週末はストーム・デニスという名前のストームです。日本ではよく台風10号とか聞きますが、これは毎年一番早く発生した台風を1号として以後順番に番号をつけるそうですね。

ハリケーンや暴風雨に名前をつけることは何百年も前からあったそうですが、その後女性の名前だけになり、2010年ごろから男女の名が交代で使われるようになりました。

天気予報でアンバー(アイルランドではオレンジ)か赤の警報が出る場合につけられるこの名前は一般募集して決められるそうですが、アルファベット順なので、Peter、Paul、Sophie、Thomasなどの名前が使われるのは何年も後になるようです。

さて、頻繁に来ている暴風雨であちこちに被害が出ています。洪水になっているところもありますし、飛行機、列車にキャンセルも沢山出ています。私が毎日の散歩で通る路地の家の塀も倒れて庭がむき出しになっています。




道端の木々も倒れています。






今、ラグビーのSixNationsのマッチが行われていますが、それでなくても楕円のボールはキックの際や、バウンスした際は思ってもいなかった方向に飛んでいくのですが今回は強風や豪雨で選手がキャッチするボールもツルンと腕を抜けたり、簡単そうに見えるペナルティキック、コンヴァージョンキックが見事に外れたり。(Six Nations とはイングランド、スコットランド、アイルランド、ウェールズ、フランス、イタリアのラグビー戦)

選手が滑りながら、そして時には前が見えないのでは?と思われる状況の中でもキャンセルにならないラグビーマッチのすごさを見せつけられます。







今回のストーム・デニスは特に大きいそうで、すでに300か所以上にアンバー・ウォーニング(警報)が出され、南ウェールズではレッド・ウォーニングです。非難した人たちもいます。私のところは少し小雨が降っている程度ですが、ウォーニングが出されている地域の人たちの安全を祈るばかりです。

2/13/2020

無駄をなくすために

初めて「マイハシ」という言葉を聞いたとき、感動しました。自分のお箸を持ち歩くなんておしゃれで素晴らしいアイディアだと思いました。無駄もないし、使いやすいし、最高の状態でお食事が美味しくできます。中世のヨーロッパでは宴会に招待される際はナイフを持参するのがマナーだったとか。将来、そういう習慣が復活することも考えられますね。

先日、環境を考えたものを売っているお店に行きました。この写真は洗剤のコーナーです。



自分で容器を持ってくると量り売りで買えます。




リサイクルできる容器もありますが、できないものがまだまだ多い実情です。地産地消も大事です。私は以前から、どの国でもミネラルウォーターはあるのに、何故スイスやフランスからわざわざ輸入したミネラルウォーターを飲まなければならないのか不思議でした。イギリスでも日本でも美味しいお水が簡単に手に入ります。何故エヴィアンやヴォルヴィックなど外国から輸入した水を飲まなければいけないのか?

私はどうしてもミネラルウォーターを買わなければいけない場合は、なるべく近いところのものを買います。住んでいるところから近いのはバクストン・ウォーター、スコットランドで買うのであればハイランド・スプリング・・・・・というふうに。外国から来たものはできるだけ避けています。

それでも最近ではミネラルウォーター自体に疑問が持たれ始めました。水道のお水でも十分美味しいのですもの。地域によって水道の味が悪ければブリタなどの浄水器を使えば問題ありません。

少し前はミネラルウォーターのボトルを持ち歩くのが普通でした。健康を保つには一日2リットルのお水を飲むことが大事とずっと言われ、2リットルのボトルを持ち歩くモデルやタレントの写真をよく目にしました。

でも、最近はマイ箸ならず水道水を入れたマイボトルを持つ人が多くなり、ミネラルウォーターのボトルはあまり見かけなくなりました。コーヒーカップにしてもマイカップです。

捨てるものをなるべく少なくすることは大事ですね。使い捨ての世の中はすでに時代遅れになりつつあります。

私のマイボトル。浄水器を通した水道水を持ち歩いています。



2/10/2020

感動の映画

やっと春の兆しが見え始め、私の住む町の教会にもスノードロップが咲き始めました。・・・・・・と思ったら、昨日は突風警報が出されるという異常天気。多くの
列車が運行中止になっています。家にいても近所でゴミ箱が倒れる音が聞こえます。私の家では今のことろ被害はなく、庭の椅子やテーブルが1メートルくらい飛ばされる程度で収まっています。ド田舎に住む娘たちの家の周りは小枝が飛び交って外に出るのも危ないとのこと。




さて今日は最近見た感動の映画のことをお話ししたいと思います。今回は、実話に基づいた3本の映画です。どれを取っても主人公の勇気に感動し、その反面政府や大企業、社会全般がいかに非人道的な行為をしているかを知って恐ろしくなりました。

まず最初は「オフィシャル・シークレット(Official Secrets)」です。主人公であるキャサリン・ガンを演じるのはキーラ・ナイトリーです。




イギリスの政府機関である内部通信本部で働くキャサリン・ガンは、アメリカのNSA(国家安全保障局)が違法行為をしている事実を発見。その事実とは、イラクに大量破壊兵器があることを国連に説得しイラク戦争を承認させるためのスパイ作戦です。反イラク戦争派だったキャサリンはそれをオブザーバー新聞に通告しました。秘密データを公表することは罪になりますが、彼女の良心は沈黙ではなく敢えて発表することを選択させます。結局国連はイラク戦争を承認しませんでしたが、アメリカ(ブッシュ大統領)とイギリス(ブレア首相)と少数の有志国は強硬に戦争に持ち込みます。その結果15~100万人の人が亡くなりました。

機密漏洩の罪で起訴されたキャサリン・ガンですが結局は検事側が証拠を提示しないことで思いがけない結末になっていきます。

事実は、時にはフィクションよりはるかに恐ろしものであるかは、最後にご紹介する「ダーク・ウォーター」によっても感じます。

キャサリン・ガン本人(左)とキーラ・ナイトリー(右)




次の映画は「ハリエット」です。舞台は1840年代のアメリカに始まります。ハリエット・タブマンは自身が奴隷だった時に脱出に成功。自由の身となりましたがその後、奴隷解放秘密組織に加わり、奴隷の逃亡を助けることに身を捧げます。こうして19回の危険な旅の結果、捕らえられることもなく両親を含む300人の奴隷を救いました。南北戦争後も女性解放、貧困者、高齢者のために活動します。アメリカの歴史を作った一人です。

ハリエット役を演じるシンシア・エリヴォは、この映画の繊細さを見事に演じています。アカデミー賞、ゴールデングローブ賞にノミネートされたのも当然のことでしょう。




ハリエット・タブマン本人




最後は「ダーク・ウォーター」です。(同名の映画があるのでご注意)この映画はイギリスでもまだ封切られていないのですが、私はラッキーなことに観る機会があり、かなり衝動を受けましたのでご紹介します。ある農夫が自分の牛が次々に死んでいく理由は大企業であるデュポンが環境を犯しているためと確信し、弁護士であるロブ・ビロットに助けを求めに来るところから始まります。ロブ・ビロットは企業の弁護をする会社に雇われていました。

デュポンといえば、世界で4番目の規模を持つ化学メーカー。アメリカの三大財閥にも挙がっています。火薬などを製造していることから、アメリカの戦争に貢献してきました。農夫の住む地域ではデュポンで働く人も多く、デュポンを起訴するのに非協力的なひとたちが多かったのですが、癌やその他の病気の人が急増すると人々の態度も変わってきます。



内容は2016年にニューヨークタイムズに掲載された「デュポン最大の悪夢になった弁護士」という記事に基づいています。20年という長い年月を信念を持って取り組んできた弁護士(ロブ・ビロット)、そして企業弁護が目的である会社の上役がビロットの行為を遮らなかったことに深く感動します。

デュポンが製造のために環境汚染をしていたもののひとつがテフロンです。フライパンなどで焦げがこびりつかないように加工しているあのテフロンは私も使っていました。使うたびにテフロンが料理に少しづつ浸透していた可能性もあります。それを知りながら製造し続けたデュポンに深い怒りを感じます。

非常に複雑な、そして時間のかかる問題を巧みに一本の映画にした制作関係者はすごいと思う一方、上記の「オフィシャル・シークレット」と同様、政府、大企業を含む大きな組織が世の中を操っている事実を改めて知って愕然としました。弁護士役を演じるマーク・ラファロの説得性のある演技も注目です。

これら3本の映画は私がお勧めするというよりは、可能であれば一人でも多くの方に観ていただきたい映画です。歴史が良い方向に向かっているとしたら、このような勇気ある人間がいたからこそ可能だったと言っても過言ではないでしょう。

2/05/2020

スノードロップ

2020年の始まりは、私にとってあまり明るいスタートではありませんでした。どんよりした天気が続き、その上ブレグジットです。離脱をバカ騒ぎして喜ぶイングランド人に疑問を持ち、政治に関しては絶望までは行かなくても時々、それに似た気持ちになります。

イギリスで人生を終えることに何の疑いも感じたことがなかった私ですが、初めて他の選択も考え始めました。スコットランドが独立したらスコットランドに住もうか?それともいっそのこと他のヨーロッパの国に引っ越そうか?可能性としては少ないのですが、こんなことを考えること自体私の人生に変化が起こっているのかもしれません。

さて、2月はスノードロップが咲く月です。気持ちを晴らすために早速主人と一緒にルビー、ジャスパーを連れて近くのガーデンに行ってきました。個人所有のガーデンですが、庭と言うよりは森に近く野生的です。夏場は椿やシャクナゲで埋まるそうですが、この時期はスノードロップ、ミニの水仙とクリスマスローズが咲いていました。

数人の人を見かけただけでティーショップもクローズになっていましたが、自然をたっぷり楽しむことができました。

写真を沢山撮ってきましたので、友人や家族に早速送りました。皆さんにも幸せな気分になっていただけたら嬉しいです。




入園料は6ポンド。無人の入り口のHonesty Box正直ボックスにひとり6ポンドを入れます。










小さな水仙の黄色がスノードロップを背景に光って見えます。
















クリスマスローズ














































日も長くなり始めたこの頃です。これからどんどん外に出て気分を一新し、2020年を大いに楽しまなければ。