10/16/2014

ライの町

先日南東にある町ライに行ってきました。今回はプレストリップと言って、日本からのトラベル作家、ジャーナリスト、カメラマンが参加されたツアーです。

私はここ15年くらい、毎年1、2回英国政府観光庁が主催するこのプレストリップにガイドとしてお仕事をさせていただいています。観光庁が「ここを是非広めたい」という場所を選んで催行されるツアーですので、現地での訪問箇所なども彼らが地元の観光庁と共に綿密に選択、企画する中身の濃いツアーです。通常は一定地域でもその周辺や、時にはスコットランド全体などもあるのですが、今回はライのみ。残念ながらお天気には恵まれませんでしたが、石畳に注がれた雨が光って、それがそれでまた素敵なライの一面に出会えたようで満足でした。

さて、ライと言えば密輸業者が蔓延っていた町。古い通りを歩けば中世のホテルの窓から怖い目に見張られているようなところもあれば、可愛らしいティーショップに足と目が誘われます。またアンティークショップが立ち並ぶ通りは‘掘り出し物’を求めてやってくる観光客がブラブラと歩いています。

石畳が敷かれた道の多いライは歩いて観光するに相応しい町で、思わずカメラを取り出してみたくなるような光景が沢山あります。


 
 
 
 
 
 
 
 


中でも一番有名なマーメイド通りは少し急な坂になっていますが、ライを訪れた人は必ず歩く通り。右側にある白黒のハーフティンバーのマーメイドイン(ホテル)は昔、泣く子も黙る怖い密輸団であったホークハーストギャングのたまり場で、今回私たちの宿泊場となった所です。「1420に改築」と書かれたこのホテルには改築されていない1156年の地下室もあります。


 
 
 


18歳でこのホテルのレセプションで働き始めたという現在のオーナーは、このホテルがとても気に入って全財産を投げ出してホテル自体を買ってしまったとか。彼女に案内されたホテルインスペクション。‘ドクター.スィンの部屋’はスイートルームになっていてキングサイズの大きなベッドとシングルベッドが置かれています。とてつもなく大きなその部屋に泊まってしまった(?)メンバーのひとりは大きすぎて落ち着かないと、シングルベッドで眠ったようです。

実はこのお部屋、現エリザベス女王の母君が泊まられたお部屋。その他にもジェイムズ.ボンド役を演じたピアス.ブロズナン、またジョニー.デップは相当気に入って3回も泊まったとか!そうそう、この部屋にはまた本棚かと思いきや、実はそこはドアで密輸業者のための隠れ通路になっています。長く隠れなければいけない時のためにトイレまで造られていました。

私は、ラッキーなことに普通のお部屋です。古い部屋が好きな私でも、あのドクター.スィンのお部屋はちょっと~.....下の写真は私の泊まった部屋です。





 


この町のアンティークショップは小物やアンティークといった商品も置いているところが多く、それが特徴とも言えるかもしれません。




もちろんティーショップだけのところもあります。このアポセカリーというティーショップはそんなに大きくない門構えからは想像できないほど大きな内部にびっくり。雨が降っていたからでしょうか?中は空席を探すのが難しいほど人が入っていました。


 
 
「英国のティーショップと言えばスコーンでしょう。」と。
 
 
 
 
私はスコーンの代わりに窓からの景色をおやつにお茶を楽しみました。
 
 
 
 
アンティークショップも4,5件周りました。可愛らしいキッチン用具のヴィンテージショップも。お店の名前が変わって今はJane Wicks Kichenaliaになっていました。
 
 
 
 
めったに買い物をしない私でも使いやすそうなバッグを購入。
 
 
 
 
 
 
 
そしてテレビのアンティークロードショー(日本の鑑定団番組のようなもの)で有名な人気者のアンディーさんのガラスのお店。テレビで拝見する方と全く同じ。あの笑い、あの笑顔.....そして独特のあのあぶなっかしいガラスの持ち方!
 
 
 
 
ライポッタリーでは素焼きのポッタリーに絵付けするという製法を今でも行っています。カンタベリー物語のフィガーを見て、私まで「揃えてみようかしら?」という気になりました。
 
 
 
 
 
 
犬の置き物も欲しかった!
 
 
 
 
 
ライに来たなら絶対に登らなければいけない聖メアリー教会の塔は細い階段や梯子を登っていきます。
 
 
 
途中で鐘のあるところを通ります。この鐘は1377年にライがフランスに奇襲された際に盗まれたものを翌年、ライの男たちがフランスに侵入して取り返してきたものをその後溶かして再度鐘にしたものです。ライの男はエライ!
 
 
 
 
塔の頂上からはライ全体を見渡すことができます。
 
 
 
 
 
12世紀の部分が残る教会の中にはバーンジョーンズがデザインしてモリスの会社が作ったステンドグラスもあります。
 
 
 
 
 
ライに来たなら食事ももちろん町のレストランやカフェ、パブで。
フィッシュカフェという名のレストランでは魚の盛り合わせ。
 
 
 
 
私のお皿には魚は乗っていませんが、代わりに新鮮な野菜の天ぷらと、おいしい野生のキノコが。¥
 
 
 
これまで日本の旅行者にはカンタベリーや、ドーヴァーなどの観光の途中1,2時間に立ち寄るだけのライでしたが、一日中、出来たら一泊してゆっくり散策するには十分価値のある町です。もっと贅沢をしたければここに数泊して周辺のウィンチェルシーなどの町も含めると「これぞイングランド!」と思う素敵な光景に多く出会うはずです。(ウィンチェルシーまでは歩いても行けます)