8/20/2014

オランダに似た地形の東イングランド


イングランドの東の部分、たんこぶのような形のイーストアングリアのことは、これまでにもブログやヴァージン.アトランティック航空のウェブサイトでご紹介しました。
丘陵地帯とは反対に、海の向こうのオランダを思わせるような平らな地形が続きます。



 

 

この地域は特に中世には羊毛産業で栄え、ラヴェナムの町などは英国全体で14番目に裕福な町と言われました。それは、大きさから言うと何倍もあるヨークより王に納める税金が多かったということ、またヘンリー7世は「あまりに贅沢すぎる!」と商人に罰金を課した事実、また‘天国への切符’として裕福な羊毛商人が建てた立派なウールチャーチに伺えます。

 

さて、そのラヴェナムの富も16世紀にオランダから宗教的迫害を受けてイングランドに移り住んだ織物職人の影響で一気に失なわれます。新しい建物を建てる経済力もなく、修復に修復を繰り返して使ったために今日私たちはその歴史ある中世の建物を見ることができるのです。歴史って後になってみれば、何が幸いして何が災いするかわかりませんね。

 

英国中に見られる白黒のハーフティンバーの家。オークの木が使われたストライプの部分は出来た時は、色を塗らないでそのままか、または石灰を塗って虫が入ったり腐ったりしないようにしました(写真)。今、黒く見えるのは数百年の年月が自然につけた色なのです。時々黒く光って見えるハーフティンバーの木の部分は、見栄えが良いように黒や茶の色を塗っているもので、それは19世紀のヴィクトリア時代の人々のアイディアでした。


 

 

イーストアングリアの田舎はサフォークピンクと言われる色や、青、黄色の家が多く見られます。




 

さて、イーストアングリと言えば画家コンスタブルです。彼の父が所有していた水車のあるフラットフォードに行けばコンスタブルが200年前に描いた‘干し草車’の景色がそのまま残っています。

 





 

フラットフォードに行ったら是非デダムの町までスタウア川沿いを歩いてみましょう。コンスタブルに「水車から流れる水の音、柳や腐った板、ヌルヌルした杭、煉瓦....私はそういうものが好きなのだ。....それらが私を画家にした。」と言わしめるほど、この地を愛した事実がちょっとだけでも理解できる気がします。

 


 

そこでは牛も人間も同じ動物。牛はモクモクと草を食み、人間は牛の間をテクテク歩いています。





 

 
そして犬も。

 

 

 

他の村で見つけた無人のお店....
花束ひとつが1ポンド? とうもろこしひとつが20ペンス? 






 
今回は私にとっても懐かしいレストランにご案内しました。デダムの町に近いところにあるタルブースのレストランは今から25年前、JALの機内誌で「イギリスの小さな村々」という連載を書いていた時に行ったレストランです。内装はモダンな絵画などが掛かっていて、少しは変わっていましたが外はそのままです。




 

イーストアングリアはロンドンから日帰りで行けますし、コッツウォルズとは一味違った古い英国を訪ねたいのならお勧めの場所です。