3/03/2016

ロンドンでお天気が良い日には....その1.

暦の上では春です。来月になったら桜が咲くという時期なのに、先日新聞で変なことを言っていました。「ホワイトイースターになるかも?」 ウン?ホワイトクリスマスならずホワイトイースター!今月25日から始まるイースターには雪が降るかもしれないというのです。真冬に薄手のジャケットで歩いていたかと思うと、春が来たという今、今度はオーバーコートを引っ張り出すことになりそうです。

さて今日は冬に逆戻りしないと仮定して、これからの季節にお勧めしたいロンドンでの観光方をお話ししたいと思います。

ロンドンが初めての方は観光バスに乗るのが便利です。数か所写真ストップをしますが、ほとんど雨にぬれることもなく短時間で名所を見ることができます。「何だ、そんなことか!」と思わずもう少し、聞いてください。

観光バスの次に便利なのは専用車、またはタクシーで周ること。その次に便利な方法は地下鉄、バスを利用しての観光です。特にリピーターの方には今度は観光だけの視線からロンドンを見るのではなく、ご自分の好み、興味に合わせてそれぞれの場所で理想的な時間をすごせると思います。

私はロンドンに40年も住んでいながらいまだに時々ロンドン観光に出かけます。そしてそういう時は歩きに限ります。ここでやっとお勧めの方法の話になります。歩くと言ってもどこでも歩けばいいというのではなく、私の場合はテムズ川沿いを歩きます。観光ガイドが観光するなんて変に思われるかもしれませんが、私はよくこれをするんです。何百回も見た風景、建物でも見る度に「いいなー」と感じます。

いつかこれをブログに書きたいと思っていましたので、「暑くもなく、寒くもなく、空気がパリッとしていてお天気の良い日は家にいるのがもったいない。」といったある日、カメラを持って出かけました。ちょうどロンドンでしなければいけないことがあったので早めに家を出ていつものようにテムズ川沿いの道The Queen's Walkを散歩しました。写真を沢山写してきましたので、今日は皆さんと写真を見ながら歩いてみようと思います。

まずロンドンの観光名所はテムズ川沿いに沢山あるので、テムズ川を拠点として計画を立てると便利です。今回はランべス.ブリッジからタワーブリッジの間を川沿いに走るQueen's Walkという道の中でも、ウォータルーブリッジからロンドンブリッジの間のみを歩きました。





ロンドンが初めての方は地下鉄ジュビリー線のウェストミンスター駅から川を渡ってウォーキングを始めると、ビッグベンやウェストミンスター寺院、ロンドンアイなどが見えますので、是非そうしてください。






ウォタルーブリッジの名前は、1815年のウォタルーの戦いに由来しています。1817年に造られた以前の橋に代わり今の橋は第二次大戦時中に造られました。出征している男性に代わって多くの女性の労働によって造られた橋なので、別名「レディの橋」とも呼ばれています。ドーセット州にあるポートランド島で採れるポートランド石が使われています。
 
 





向かいのサマセットハウスの中にあるコートオールド.ギャラリーは小さな美術館ではありますが、ゴッホの「耳を切った自画像」他、マネの「フォリー.ベルジェールのバー」などの素晴らしい印象派の画家たちの作品を所蔵しています。川を渡って寄り道しても十分行く価値のある美術館です。





 
テムズ川はイングランドにある川としては一番長くその全長は346キロで(イギリスで最長の橋セヴァーン.ブリッジはイングランドとウェールズにまたがっている)、端から端までほとんど川沿いに歩くことが可能です。この辺りの満潮時と干潮時の水位の差は5メートルもありますので、岸壁に上の方まで苔が生えているのもうなずけるでしょう。ここまで水面が上がってくるということです。
 
この写真はかなり水が引いている時のもの。たまに宝探しに来ている人を見かけます。運がすごく良ければローマ時代のコインが、ちょっと良ければ中世の陶器のかけらが見つかるかも?





川からほんのちょっと南に入るとおもしろいお店やレストランが並びます。歩き疲れたらお茶を飲んだり、ランチをする場所が沢山あります。
 
 









OXOタワーウォーフという建物は火力発電所を経て、今でもほとんどのイギリス人の家庭で使っている固形スープの素OXO(オクソー)の倉庫だったところ。今ではアーティストたちのワークショップが地階に並び、真ん中が住宅、上の階は高級レストランになっています。

OXOと書かれた塔は、オクソーがアートデコスタイルに改築した1928年、「あまりに目立ちすぎる広告」とロンドン市から壊すよう命じられたのが、今では反対に「壊してはいけない建物」のリストに上がっているという代物。何でも壊してしまえば終わりです。時代が変われば建物の価値観も変わりますね。壊した後で「しまった!」と思うのが普通です。それを避けるためには、「何故壊さなければいけないか?」を真剣に考えたほうがいいですね。





更に先に進みます。と、セント.ポール寺院のドームが見えてきました。
 
 


ウェディングケーキの形はこの教会からきたというセント.ブライド教会も。




テートモダン美術館です。昔火力発電所であった建物が今では1900年からの近代美術の宝庫になっていて、イギリス内で最も人気のある美術館の一つになっています。




展示物を見るには2時間は必要です。でもその時間がなかったら内部のターバイン.ホールを見るだけでもその価値は十分あります。5分の時間があったら是非入ってみてください。いつも話題になるアートの展示が行われるホールです。入場は無料。


 
 
テートモダンの正面から出ているミレニアム.ブリッジは西暦2000年を記念して造られた橋で、別名「ウォブリー.ブリッジ」。wobblyとは「ぐらぐら揺れる」という意味です。2000年にオープンした時は本当にぐらぐら揺れて、危なっかしそうに人々が歩いていました。橋はすぐにクローズされ修理が始まりましたが、再オープンしたのは2年後でした。
 
 



ミレニアム.ブリッジを渡ればセント.ポール寺院です。1666年のロンドンの大火で古い大聖堂が焼けてしまい、今の寺院はその後バロック建築を取り入れて造られたものです。111メートルの高さを持つドームはロンドンのランドマークの一つで、時間があったら是非中を見学してください。ドームの真下の地下納骨室には1805年トラファルガーの海戦で功績を納めたネルソン提督が眠っています。

「私の体は絶対に水葬にしてくれるな。」と言って船で亡くなったネルソンの遺体は、ブランディー浸けにされてイギリスに戻りここに眠っています。御棺はヘンリー8世の右腕で最後には王の信頼を失ったトマス.ウルジー枢機卿(ハンプトンコート宮殿を建てた人)のものです。その他、最初にお話ししたウォータルーの戦いで功績のあったウェリントン将軍、芸術家ではターナーなどのお墓もあります。


さて、今日はこの位にします。明日また「その2」を書きますね。