3/17/2016

V&A美術館のボッティチェリ展

何年か前にフィレンツェのウフィツィ美術館で、ボッティチェリの「ヴィーナスの誕生」「プリマヴェーラ (春)」を見ました。










Sandro Botticelli, Primavera, ca. 1482 (Click image for a larger

今回は、1930年以来この国最大と言われるボッティチェリ展がヴィクトリア&アルバート美術館で開かれていて行って来ました。それは単にボッティチェリの作品を集めたものではありません。ボッティチェリのオリジナル作は50点ありましたが、それらは特に有名なものではなく、彼の作品を代表するものでもありません。何故なら今回のエグゼビションの目的は、ボッティチェリが19世紀以降のアーティストにどのような影響を与えているかに焦点を当てているからです。

「007 ジェイムズ.ボンド」の‘Dr. No’の映画でアーシュラ.アンドレスが白いビキニを着て海からあがってくる場面は‘ビーナスの誕生’を思わせます。

その他、デザイナーのドルチェ&ガッバーナのドレスやアンディ.ウォーホールのポップアート絵画の他、彫刻やタペストリーなどもこのエグゼビションを見ると「そういえばボッティチェリ風」と気が付く作品が多く展示されています。








ボッティチェリ(1445~1510)はロレンゾ.デ.メディチをパトロンに持ち、ルネッサンス初期に活躍した画家です。ところが彼の死後、その作品も一緒に土に埋もれてしまったかのようにアートの世界から消えてしまいました。本名はアレッサンドロ.ディ.マリアーノ.フィリペーピ。昔は画家たちは本名ではなくあだ名で呼ばれていたことが多く、ボッティチェリの場合も彼の兄が太っていたことから弟が(小さな樽)と呼ばれるようになったようです。なんだか日本語の‘ポッチャリ’という言葉に似てますね。





ボッティチェリが再発見され、急に世界の注目を引き始めたのは19世紀になってからです。
イギリスでもラファエル前派のアーティスト(ダンテ.ゲイブリエル.ロセッティ、ホルマン.ハント、ウィリアム.モリス、エドワード.バーン.ジョーンズ、エヴリン.デ.モーガンなど)に大きな影響を与えました。特にロセッティやバーン.ジョーンズ、ラスキンはボッティチェリの絵画のコレクターでもあったようで、その一部も展示されています。

2年前に訪れたナショナルトラスト所有のウィティック.マナーに掛けられていたエヴリン.デ.モーガンの‘フローラ’は明らかにボッティチェリの‘プリマヴェーラ’からインスピレーションを受けたものです。







ウィリアム.モリスのタペストリー‘The Orchard’も‘プリマヴェーラ’の影響を受けていますし、ロセッティの‘ラ.ギルランダータ’もそうです。ラファエロ前派とは「ラファエロ以前、つまり中世や初期のルネッサンスのころの芸術を称える」芸術運動で、日本ではジョン.エヴェレット.ミレイの「オフィーリア」が有名ですね。

この日はとても良いお天気の日でしたので、レストランでサンドウィッチを買って、美術館の中庭で日光浴をしながら(この国は太陽が少ないので、太陽が出ると日光浴をしなければビタミンD不足になります!)素敵なランチをとり、お腹も目も心もハッピーな一日でした。






Bottichelli Reimaginedと題されたこのエグゼビションはは7月3日までヴィクトリア&アルバート美術館で開催されています。

http://www.vam.ac.uk/content/exhibitions/exhibition-botticelli-reimagined/