1/15/2018

マーマレードについて。その2

マーマレードの人気が下がっていることは前回のブログに書いた通りです。ところがそのマーマレードの将来に少し明るい灯が見えていることも確か。一つは数年前に製作されたパディントンベアーの映画 で最近パート2が封切られたことが挙げられます。イギリスの児童文学で有名なパディントンベアーはペルーからやってきたクマでロンドンのある家族と暮らし始めますが、このベアーはマーマレードが大好きです。

もうひとつはイギリス北部のカンブリア地方のジョージアンの館デイルメインで毎年3月に行われる国際マーマレード祭りです。ここのコンテストは有名で、世界中からプロ部門、アマチュア部門に自慢のマーマレードが集まります。昨年は日本からも今までになく大勢の応募があって現地にいらっしゃった日本の方たちと楽しくおしゃべりができましたし、ロンドンからは駐英日本大使もゲストでいらっしゃっていました。マーマレードはセヴィル・オレンジの部門と「柑橘類であれば何でもOK」という部門がありますので日本からは柚子やキンカン、カボスなど日本的な柑橘類のマーマレードが人気でした。






NHKのテレビの撮影隊も来ていました。




広大な敷地は貴族の館にはつきものです。マーマレードを試食した後はホテルに戻る前にデイルメインの広い敷地で散歩・・・・と思いきや、散歩の後足が再び試食の建物に向かっていました。



マーマレードはいつ食べ物としてできたのかは定かではありません。前回述べたように古代ギリシャ人はすでにマルメロをハチミツで煮込んだものを食べていましたが、そのころのものはペイスト状で今のようにトーストに塗る食べ方はしていなかったのです。その後も長い間マーマレードは堅めのもので、朝食時にトーストに塗って食べるものではなく、食事の最後にデザート的な感覚で食べていたようです。

イギリスで今食べているようなマーマレードはスコットランドのダンディに始まったと言われています。スペインからオレンジを積んだ航海中の船が難破しそうになってスコットランドのダンディー港近くに入ってきました。ダンディーでお菓子などを売っていたジェイムズ・キーラーがそのオレンジを安く買い、使い道に困った妻がオレンジマーマレードを作って販売したところが大当たり。キーラー氏は1797年に初めてマーマレードの工場をオープンしました。

ですから今のマーマレードはスコットランドが発祥というのが一般的ですが、上記のデイルメインのオーナーは先祖が残した料理レシピの記録がダンディーの工場オープンよりはるかに古いものであることから、マーマレードのスコットランド発祥論は認めていないようです。

日本ではマーマレードと言えば薄いオレンジ色のものですが、私は個人的には琥珀色のもののほうがコクがあって好きです。オレンジのピールも(皮)、糸のような細いものではなく、1~2ミリの幅のものが好きです。でもこれは個人の好みなので人によってはチャンキーな幅が5ミリもあるようなピールが好きな人もいます。




今年も私は3月はデイルメインの国際マーマレード祭りに行く予定です。また多くの日本人にお会いしてマーマレードについて熱く語ることを楽しみにしています。